混声合唱団 麗鳴

東京都府中市で主に活動している混声合唱団

「ティオの夜の旅」関連書籍 その2〜南の島のティオ〜

かわばたです。7月28日の第20回定期演奏会には多数ご来場いただき本当にありがとうございました!例年(約250名)に比べて約4割ほど入場者が多い結果(約360名)となりました!!

さて、演奏会で演奏した「ティオの夜の旅」の関連書籍その1に続き、その2を演奏会前になんとか紹介したかったのですが力尽きてしまいましたので、今更ながら紹介させていただきます。

その2は、その1と同じく、池澤夏樹さんの小説である「南の島のティオ」です。

南の島のティオ (文春文庫)

南の島のティオ (文春文庫)

南の島のティオ (講談社青い鳥文庫)

南の島のティオ (講談社青い鳥文庫)

その1の「夏の朝の成層圏」は南の島での孤独なサバイバル生活と文明社会との対比や、大人の苦悩や恋愛が描かれる大人向けの内容ですが、「南の島のティオ」は子供向けに書かれた小説です。主人公は10代前半(12歳くらい)の少年であるティオです。家はホテルを経営しており、ティオも手伝いをしています。ホテルには観光客や南の島の歴史や文化を調査しに来た学者などが泊りに来ます。

タイトル通りで舞台は珊瑚礁に囲まれた南の島です。架空の島だと思っていましたが、文春文庫版の解説によるとミクロネシアポナペ島(ポンペイ島)が舞台だそうです。地図で見るとこんな感じですね。


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この、「ティオの島」で起きた出来事を、ティオの視線で描いた10編の短編が収められた本です。

  • 40年前に別れた女の人を探しに来たおじいさんの話(「ホセさんの尋ね人」)
  • 日本から来た彫刻家のアサコ・キタムラさんが巨大な流木に惚れ込み持ち帰ろうとするが大き過ぎて動かせないので、いつか持ち帰る事を約束し、毎年ティオと島の人に見張ってくれるよう頼む手紙を出す話(「昔、天を支えていた木」)

などのなんともいえない余韻を読後に残すエピソードや、

  • 出すと必ず相手がやってきたくなる絵はがきを売る若い男の人がティオのホテルに泊りに来る話(「絵はがきやさん」)
  • 島の子供を連れ去ろうとする「天の者」に、ティオ達が談判して止めさせようとがんばる話(「星が透けて見える大きな身体」)

といった、不思議なエピソードが収められている素敵な児童文学です。小学校時代に図書室にあったら楽しく読んだかもしれません。

この小説と合唱組曲の終曲「ティオの夜の旅」は名前からして関連していると推測すると、

  • 舞台は太平洋の南の島*1
  • ティオは12歳くらいの男の子
  • 南の島も文明化が進んでいるが、古い神様がまだ信じられていて、神様がたまに登場して人をおどかしたりする

というような事がわかります。この雰囲気を感じながら歌うと、割と難解な詩も「12歳のティオが寝床で考えている不思議な世界」と解釈することで、より曲に思い入れが出来ると思います。
ちなみに詩に登場する「丘の上の放送局」も出てきます。

ちょっと不思議な事が起こる南の島で暮らす子供達の物語、そして進んでいく文明化への批判(しかしさりげなく)も含んでいる小説だと思います。「大好きなんです!」と公言している団員もいます。

なお、私が持っているのは上で紹介した文春文庫版(杉浦範茂さんの挿絵がとても良いです)ですが、今から買うとして、かつ子供も読むのであれば、講談社青い鳥文庫がお勧めでしょう。

という訳でティオの夜の旅関連書籍の紹介は以上です。他にもあったら是非教えてください。

ではー。

*1:歌詞にも「太平洋の草原諸島」と出てきます